蜘蛛之巣城

本丸 About Me 偽版画WORLD CANDY CANDY BOOTLEGS!!  

ムーアにおまかせ!〜あなたの知らないちょー大長編の世界

アラン・ムーア。英米コミック界の必殺仕事人。どーにもならんルーティンと化した大長編作品にライターとして乗り込んでは、その設定やキャラクターに内在するテーマを掘り起こし、お馴染みの作品世界を破壊&再構築。低俗なB級コミックを哲学的ストーリーにまで再生させてしまう奇跡の男。
このコーナーはムーアの作品について語る…のではなく(ゴメン)、私が思わず「ムーアにまかせろ!」と叫んでしまった大長編漫画&小説について語らせていただきます。

ムーア先生の作品紹介&このタイトルに隠されたあんまり深遠でもない思想については、本丸の文章をお読みくだされ。

貴方の解脱を助ける金言集

深情けな性格が災いしてヘタレ長編を見捨てられず、今日も涙で枕を濡らす貴方。これはそんな貴方に贈る魂の名言集。先人の言葉を胸に刻んで、明るい明日を目指してください。




「死体を解剖して死因をつきとめても、死体が生き返るわけじゃない」
〜とあるDB同人誌のフリートークページより

DB連載末期(セルゲーム編〜ブウ編)、古参DB同人誌のフリートークページには、現状を憂いジャンプ編集部を呪詛する言葉が溢れておりました。これはそんな本の一つで見つけた、血を吐くがごとき魂の言霊。
DBの現状と当時のジャンプ編集部の体制の鋭い分析と批判を展開する同人作家さんのトークに対し、その相方が放った「かいしんのいちげき」。読んでた私も思わずイテテでした。お二方ともこれを最後にDBジャンルを引退された模様(涙)。

「殺すもまた情けと知れ!死すべき時死ねぬは辛き事よ」
〜原作・隆慶一郎 作画・原哲夫  『花の慶次』第十巻より

作品内外を問わず、あらゆる局面で使用可能な名セリフ。
瞳に深い悲しみを湛えつつ、腹の底から搾り出すようにして発声して下さい。その際、眉間に力を込めるのがポイントです。
終わり時を誤った作品、綺麗に退場するきっかけを失ったキャラクターに悲哀を感じた時。老害を撒き散らす大御所作家に苛立ちを感じた時。即座にこのセリフを言い放てるよう、日頃から練習しておきましょう。



「ここまでおれを信じてコミックスを買い続けてくれた読者たちはどうなるんだよ!?」
「ひたすら信じてついてきてくれた読者に最大の感動をもたらしてこそ、プロの責任が果たせるというものじゃないかっ、炎尾!?」
〜島本和彦 作 『吼えろペン』第8巻32話より

…この名セリフを吐いた富士鷹ジュビロのモデル・うしおでからくりな先生は、既に大風呂敷を見事に畳み、ファンに対する責任を果たした実績有。
前作『燃えよペン』では「全ての漫画家がこうだと思って欲しい!」とカマしてあったが、ほんとに全ての漫画家がこうだったら誰も泣かずにすむのにね。

「映画だって思いきってバシバシ切っていかないと面白い作品にならないし。長い連載の中では、余計な枝葉が増えていってしまうので、一冊にまとめる際にそれを剪定して切り落とすのは当然だ。よい勉強になったと思う」
「単純に楽しんでもらいたい。そのための苦労は厭わない。何度でも読み返せるものほど実は大変なのだと知る。 そんな作品に少しでも近づきたくて、お互い粘っているのかも知れない」
原作・寺島優  作画・藤原カムイ 『雷火』凍結版第十五巻あとがきより

心洗われるプロの言葉その2。『雷火』の雑誌連載分を単行本にまとめる際、原作の寺島さんからカムイさんに、毎回一巻ごとに分厚いファイルで細かい編集指示が届いたそうである。
作家の自己満足ではなく、ドラマの流れを重視し、読者にとっての分かりやすさを求めて己の原稿を切り張りする。ファンに暴言を吐きながら垂れ流し連載を続ける一部の大先生方に聞かせてやりてえよ。

「不幸にして物語が進まなかったとしても、かつて孔子が言ったとおり、中国五億の人民は痛くも痒くもないだろう」
〜スティーブン・キング 作 『ガンスリンガー』前書きより

孔子はこんなこと言ってません(笑)。
この前書き、冷静に読むと、「これはオレがアマ時代に構想した趣味に走りまくった物語で、きちんとした設定もなしに行き当たりばったりに書いてるから、そのあたり覚悟して読んでや」って言ってるだけなんだけど、池央耿さんの格調高い訳文のせいか、作家のインスピレーションとモチベーションに関する深遠な考察を読まされているような気になるのが恐ろしいところ。プロ作家の自分語りなら、これくらいのクオリティでやってほしいもんである。

締めの文章もかっこいいぞ。


「ひとつだけはっきり言えることがある。悠久の時が流れたある日、伝奇冒険譚にふさわしい紫の夕映えが空を染め、その中を、ローランドは高らかにラッパを吹き鳴らしながら暗黒の塔に入場するはずである……。もし私がそこまで辿り着けたなら、今、本書を手にしている読者に真っ先にそのことを伝えようと思う。」

「行き当たりばったりに書いてるけど、ラストのイメージだけは決まってるから。一巻目買ってねプリーズ」って言ってるだけなんだけど。

 

妖精国の騎士 
2006/10/25 Updated

SHI 
2006/11/05 

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