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 イソノ武威 a.k.a. ITOMARU 

Read Me Right-to-Left! 11/05/13

右開きmanga話のつづき。
Tokyopopと並ぶOEL-manga界の雄、Seven Seas Entertainment

出版業への愛も若手作家への責任もなく撤退したくせに、ショウビズワナビの社長が映像化権にしがみついて醜態さらしてるTPと違って、今も地道にmanga系オリジナル作品を粛々と続けているSSEの事を何故今まで取り上げなかったかと言うと………いや、あそこの作品って、ぱっと見が90年代テレ東午後6時台あかほりさとる系っぽい雰囲気なもんで。
オイラ、あの時代の日本のオタク状況に耐えられずにヒーローアメコミにハマった人間なんですもん〜〜。

しかしこれも良い機会と思ってざっと調べてみました。

SSE作品は大体が公式サイト内のSEVEN SEAS EBOOK LISTにプレビューページと各種電子書籍ストアへのリンクつきでリストアップされています。
また、SSEの無料(運営費は広告費でまかなっている模様)OELウェブmangaポータルZOOM COMICSでは現在進行形作品が無料公開されています。

以下、日本や韓国のライセンスド作品を除外したオリジナル作品を一通り解説。


Aoi House
2005年にAdam Arnold原作、Jim Jimenez作画で発表されたものを原型に、二代目作画担当Shieiを迎えてブラッシュアップ、長編化したもの。
Adam Arnoldは長年アニメファンコミュニティでウェブジン発行を担当していたような人物で、赤松健やコゲどんぼの大ファン。内容は推して知るべしというか。

学生寮を追い出されて途方にくれる大学生二人が転がり込んだアパートはanime-otakuの腐女子の巣窟で…という、アメリカ版ハーレム下宿もの。

オタクカルチャーの中を泳ぎ回る男性二人組、彼らと恋愛未満の関係をゆらゆらする美少女軍団… というあたり、 Megatokyo(2000年8月から連載開始)の影響も多分にあるかもしれないが、ああいうセンシティブな作風ではなく少年誌のハチャメチャラブコメ風。

本編4巻で円満に完結後、 Adam Arnoldは世界観を共有するParanormal Mystery Squad (作画 Comipa)、とVampire Cheerleaders (作画 Ian Cang)を連載。

*

 

Amazing Agent Luna & Amazing Agent Jennifer
現在の看板作品はおそらくこれ。
夫婦コンビ作家 Nunzio DeFilippisChristina Weirは、もともとディズニーチャンネルの『キム・ポッシブル(2002年)』の企画に関わったり、2003年にはマーベルのTSUNAMIレーベル用にThe New Mutants, vol. 2 (Academy X の前身)のシリーズ立ち上げライターをつとめたりと、十代の学園群像ものやスパイものの得意な作家。

彼らがSSEで開始したのは海賊もののDestiny's Hand(作画 Mel Calingo)と SFものLast Hope(作画 Kriss Sison)、そして2005年にシリーズ開始の16歳の少女スパイ・ルナを主人公にした学園アクションAmazing Agent Luna(作画 Shiei)。

Destiny's HandもLunaも 全12巻完結予定のシリーズだったが、2009年1月のインタビュー記事によると「OELの売れ行き不振」を理由にDestinyは全3巻完結、Lunaは5巻で一旦終了という決定がなされた。

しかしLunaは延命し、シリーズ続行。2010年にはルナの遺伝子上の母親を主人公にしたプリクエルのスピンオフシリーズAmazing Agent Jennifer(作画 Kriss Sison)も開始。SSEのKindleへの早期参入(2009年9月Kindle 2時代から)による安価で手軽な電子版の存在が後押ししたのかもしれない。

参考: Amazon Kindle Store Best Sellers in Manga

更にヴァンパイアブームに乗ってか作画Rhea SilvanでDracula Everlastingも開始と忙しい。

*

Hollow Fields
Madeleine Roscaのオリジナル作品。ごく普通の少女ルーシー・スノウが手違いからマッドサイエンティストの養成学校に入学してしまい…というコメディ。外務省主催の第1回国際漫画賞奨励賞受賞作

(同じ世界設定で描かれたTor Books社刊のロスカの最新作The Clockwork Skyアニメーショントレーラーがプロモーションとして制作されています)


あとは概ね打ち切り作品ですが…
SSEの作画担当者はオーストラリア出身のマドレーヌ・ロスカとUSA在住2名をのぞけば
Shiei (USA) Aoi HouseAmazing Agent Luna
Michael Shelfer (USA) Dead AlreadyVampire Cheerleaders Must Die!

Rhea Silvan(インドネシア)Dracula EverlastingInVisible、他社ではもっぱらYAOI作品
Jennyson Rosero (シンガポール)No Man's LandFree Runners
Edward Gan (マレーシア)The OutcastAvalon

Kriss Sison(フィリピン)Amazing Agent JenniferLast Hope、Del Reyで爆丸のコミカライズなど
Ian Cang (フィリピン)Vampire Cheerleaders
Jhomar Soriano(フィリピン)Arkham WoodsMr. Grieves
Aldin Viray (フィリピン)Captain Nemo
Roland Amago(フィリピン)Moonlight Meow
Elmer Damaso(フィリピン)RavenskullTen Beautiful AssassinsUnearthlySpeed Racer
Comipa(フィリピン)Paranormal Mystery Squad

…と、みごとに東南アジア軍団。おそらく個別にスカウトしているのではなく、現地のスタジオと契約していると思われ。

ショーネンマンガWolverineのウィルソン・トルトサはフィリピン、ショージョマンガX-MenのAnzuはインドネシアだったし。2008年頃からアメリカのコミック界での東南アジアスタジオの躍進が著しい訳ですが。

Tokyopopのグローバルmangaはロサンジェルス社制作の英語コミックは左開き、ドイツ支社制作のドイツ語mangaは右開き、東京制作の日本語は右開き。
そしてSSEが東南アジアのスタジオに作画をまかせたOEL-mangaも右開き。「manga読者は右開きになれているから」という理由からだろうか。

manga系のアマチュアウェブコミックを見ていると、東南アジア在住作家の描く作品にはテキストが横書きにもかかわらず右開きのものが多い。ドイツのは混在(純少女マンガには右開きが多い印象)。発注してくる出版社が右開き指定だから、読み手も描き手も、「mangaとはそういうもの」という意識が出来上がってしまってるんじゃないかなーと。


ところで、今回改めてざっと作品群を見て回った処「90年代あかほり系っぽい」というのは、どうも Shieiのアートスタイルから受けた印象に過ぎなかったようで。中身はそうでもないみたい。偏見スマソ。

特にアメイジングエージェント・シリーズ は、『キム・ポッシブル』と『ニューミュータンツ』の流れから誕生した作品であり、ライターのNunzio DeFilippisとChristina Weirは当サイトでもプッシュしているジェン・リー・クイック先生の商業デビュー作Once in a Blue Moon(Oni Press)の原作者でもありと、2000年代のカートゥーン、ヒーローコミック、mangaの交錯点に位置する作品なのだなぁと、認識を改めた次第。今度じっくり読んでみます。


KDPそれから。 07/05/13

Chromatic Press社によるジェン・リー・クイック先生の『オフ★ビート -BOY・ミーツ・BOY-』復刊支援kickstarterが5月4日に 186名 $8,673 で達成終了。おめでとうございます。

参考:Off*Beat キックスタート 05/04/13

*

『The Banner of the Bull ボルジアの紋章』の改訳・一部翻案版がキンドルストアで配信開始されました。

今回はパブリックドメイン確認自体はスムースにいきましたが、データ変換方式が変わったのか、ギリシア数字が何度やっても文字化けする…orz
前回(昨年12月)出版したデータは問題なく表示されてるんだけどなぁ。王や教皇の〜世はギリシア数字の方が雰囲気出るんだけど…泣く泣く漢字やローマ数字に差し替え。

そして、ルビはもう諦めた。「市民」に「シトワイアン」とか「傭兵隊長」に「コンドッティエーロ」とかやりたかったけど、電子書籍だと読みにくいしね。

カテゴリー 表示については「イタリア史, 古典」で申請したら
Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > 小説・文芸
Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > 評論・文学研究
Kindleストア > Kindle本 > 歴史・地理 > 世界史
本 > 文学・評論 > 評論・文学研究 > 日本文学研究
本 > 歴史・地理 > 世界史 > ヨーロッパ史 > イタリア史

相変わらず「評論・文学研究」「日本文学研究」は入ってるわ、「古典」が行方不明だわ…。


右のものを左に… 23/04/13

スコピルの件だけで終わらせるのもナンなので、北米のmanga系作品なう的な話など。

竹熊さんは「主人公がオタクなのに恋愛感が日本のソレと違う」という話のマクラに使うなら、スコピルではなくスヴェトラナ・シマコヴァの『ドラマコン』を例に引くべきだったね。

参考:フィメールリーディング 13/05/09

ドラマコンのヒロインは17歳のアニメ・マンガotakuだけど、非処女で彼氏持ち。アニメコンベンションにも彼氏と共に参加し、宿泊先のホテルでセックスする。
更に、このヒロインは
コンベンションの最中に彼氏(こいつもotaku)が他の女の尻を追っかけ回したのがきっかけで険悪になり、そこで偶然であったコスプレイヤーの男といい感じになった挙句、今カレと破局してしまう。

処女厨な日本のオタクどもはビッチビッチ言いそうだが、これが北米オタク女子にとっての「リアリティを保った夢物語」なのだ。

DramaconはScott Pilgrim程の爆発的大ヒットはしなかったものの、2005年頃からTokyopop社が展開したグローバルmangaタイトルの中ではトップ級の成功作であり、コミック業界からも高評価を得た。このヒットを足がかりにして、作者のシマコヴァはフルタイムのmanga系コミックアーティストとして身を立てる事となった。


竹熊氏のスコピル評は一から十まで間違っている…以前にまともに作品を読まずに語ったもので問題外なのだが、『otaku=非モテ』という先入観で北米産manga系作品を読んで驚いたという点に関しては共感しないでもない。

*

まー、「ビジネス上の必要に迫られた海外進出」で「英語圏、しかも北米」しか頭にないってのも当節いかがなものかと思っちゃったりするんですが、それはさておき。

日本産マンガの英語圏翻訳出版ビジネス、あるいは日本人漫画家の英語圏進出の基盤として、現地において『(広義の)manga系作品』読者が増える事、つまりは過去のmangaブーム時のような10代ギーク女子だけではない幅広い読者にmangaを読む習慣をつけさせる事は必須な訳です。

 

で、数年前からそれに励んでるのがHachette社のmanga出版部門YenPress レーベル。
月刊誌Yen Plus では、人気作家ジェームズ・パターソンのヤングアダルト小説『Maximum Ride』を韓国人漫画家NaRae Leeにコミカライズさせた作品を皮切りに、英米の人気小説のmangaスタイルによるコミカライズを続々と制作して一定の成果を挙げている。

初期はショージョmangaファンにとっても親和性の高いパラノーマル要素を含んだヤングアダルト小説(こっちでいうラノベ)を原作に選んでいたが、それが成功した処でファン層を広げる為か、非ギーク系のいわゆるChick litジャンルに属する作品、『Gossip Girl』のコミカライズ展開を始めた。

参考:とうに黄昏を過ぎて  22/01/10

このコミカライズ路線、前述したシマコヴァがパターソンの『Witch & Wizard』を手がけたりもしてますが、作画担当として選ばれるのは韓国や中国語圏の漫画家が圧倒的に多い。

理由としては、日本の漫画家を起用するより中韓の漫画家の方がギャラも安く、先方の担当編集者に英語の堪能な者が多い為に打ち合わせもやりやすく、国策としてマンガ事業を推進している為に色々な点でコストパフォーマンスが良いからという処でしょう。
付記)あと、中韓の漫画家は本国市場が壊滅状態で海外進出しないと「食えない」という事情も。

YenPress側も北米作家の存在を無視している訳ではなく、持込やコンペで門戸を開いているものの、即戦力として起用できるレベルの人材はなかなかおらず、現状ではマンガ作画作業に習熟した中韓作家だのみになってしまっている。

*

「右開き/左開き問題」ですが、Yen Plusが紙雑誌だった時代は「表1表4ダブル表紙」で日本産漫画は右開き、マンワ・マンファ及びOELmangaは左開きという処理をしてました。
その後紙雑誌版が休刊、Webマガジンとしてリスタートしたので、そういう編集・製本上のややこしい問題からは開放されました。

ちなみに『ヘタリア』は英語版の出版配信権をTokyopop社が持っており、ComiXologyで電子書籍版を配信されているのですが、配信開始時点ではComiXologyに右→左送り機能が実装されておらず、「非四コマエピソード」は反転処理(セリフは左→右の順に読ませる) 、「四コマ」はそのまま(セリフは右→左の順に読ませる) という非常に読みにくい処理をされていました。然程間を置かず両開き機能が実装されてオリジナル版になりましたが。

 

ところで実は「日本産漫画作品を非オタクの一般海外読者に売り込む」という点で一番果敢な挑戦をしているのは、天下のハーレクイン社なんじゃなかろーかと思っています。

主として英語圏の作家の書いた女性向けエンタメ小説を日本の漫画家にコミカライズさせ、しかも相当な量産体制でストックを作る。紙雑誌や紙書籍で販売する一方、電子書籍ストアで「月間コース」としてセット売りを定着させる。更に多国語版を制作し、グローバルに電子書籍配信。kindleへの参入も早かった。

とはいうものの。他国についてはよく知りませんが、少なくとも北米のハーレクイン読者にはkindle版のハーレクインコミックは評判がよろしくなかった。

アマゾンレビューを見てみると「どう読み進めたらいいのかわからない(少女マンガ独特の変形ゴマの事か?)」「なんでテキストは左から右に読むのに、コマは右から左に読まなきゃなんないの?」と内容以前に右開き少女マンガの読み方が分からないという苦情が書き込まれておりまして。

賛辞を書き込んでる購入者もいるので一概には言えませんが、いわゆるmanga世代のotaku以外にとってはハンパなく読みにくい形態ではあるのだろうなと。それが「決定的な障壁」となる程深刻な問題なのかまではわかりませんが。


というのも、若いmanga-kaワナビの描く作品には、自国語で描いていながら右→左進行で、効果音をカタカナ・ひらがなで書き込んでるのが結構あるので。

「粋がって『本場風』に描いている」とか「mangaというのはそういうものだと思っている(山ほど出ている『mangaのかきかた』ハウツー本にそう書いてある)」とか「いずれ日本で出版される事を夢見てる」とか理由は色々でしょうが。

例えば同じTokyopop社による「グローバルmanga」 でも、ロサンジェルス社による英語圏作家作品は左→右進行なのに、ドイツ支社による作品は右→左進行だったのですよ。

参考:独逸MANGA 14/06/12


右→左進行で描かれたドイツオリジナルmanga。日本語版はテキスト横書きで読み難い…

ドイツに関しては、もともとの現地産コミック作品が少なく、「若者向け漫画作品=日本産manga」となって右開きが「基本フォーマット」になってしまったとか、右開き日本漫画を連載していた紙雑誌の『DAISUKI 』が2003年から2012年までの長期にわたって刊行され、現地の新人作家も雑誌のフォーマットに合わせて右開きで描くのを当然のように受け入れていたとか、要因は一つではないのでしょうが。(最近は左開きのオリジナル作品も刊行されています)

付記1)同じ独TPから刊行された同じ漫画家の単行本でも、Anike Hageのオリジナル作『Gothic Sports』は右開き、コミカライズ作品の『Die Wolke』は左開き。Inga Steinmetzのオリジナル作『Alpha Girl』は右開き、コミカライズ作品の『FMFM』は左開き。mangaファン向け作品は右開きが当然、原作小説の延長として出す出版物は左開きと適宜描き分けているのかもしれない。

付記2)ちなみにドイツ語圏のWeb mangaポータルanimexx.deをざっと見る限り、右進行左進行が混在してさしたる問題もない様子。


そんなこんなでフォーマットをどうする「べき」なんて分からないけど、いずれ電子書籍中心の世の中になったら、自然とテキスト横書きに流れるんじゃないかなとは思いますよ。 ただしナンボ縮小したとはいえ、今現在「フルタイムのmanga家で食える」市場は圧倒的に「縦書き右開きの日本」なんですけどね。

*

オイラ的には、「日本産漫画の北米での販売」に必要なのは、各社共同ルールの「細か〜〜いレーティング分け表示」なんじゃねーかと思っとります。

どういう層(年齢性別だけでなく、宗教戒律や学歴・ライフスタイル)に売り込みたいかをまずきっちり決めて、レーティングにそったローカライズを施す。オリジナル厨のマニアの言うことになんぞ耳を貸さなくてよろしい。オリジナルが読みたかったら日本語の勉強せいや!の一言で済ませる。スキャンレーションは情け容赦なく刈り取る。

「グローバル」な作品作りについては、VIZが行っている海外新人漫画家コンペの成果が形になるのを待ちたい処。ノウハウが確立されれば世界市場に挑みたい日本人作家にも恩恵はあるだろうし。

付記1)カナダのmanga-ka志望の少女を主人公にしたアニメMy Life Me 特設サイト。コンテンツのひとつである「mangaの描き方講座」レッスン9 レイアウトの巻 では「Traditional manga from Japan is read from right to left, but you can create yours left to right, as you wish.(伝統的な日本の漫画は右から左に読むけど、あなたは自分の好きな方向に読ませるレイアウトを選んで描けばいいのよ)と教えているのであった。

付記2)同じOEL-mangaでもSeven Seas Entertainmentの作品は右びらきジャパニーズスタイル。あんまりきっちりチェックしてないけどスペインmangaは左開きが多いが右開きも混在。フランスは左開き。ウェブコミックではフィリピンの描き手のものには右開きが多いような印象。

 

今更ながらスコピルの話 18/04/13

TLに流れてきた Togetter-日本マンガ・アニメの海外普及について の中の 竹熊健太郎(@kentaro666)からゆうきまさみ(@masyuuki)に宛てたツイートがあまりにもひっでぇシロモノだったので、今更ながらのスコピル解説。


私は昨年日本公開された「スコット・ピルグリム」のアメコミ翻訳版を読んで衝撃を受けました。あの作品、日本の学園物とバトル物の影響を受けて描かれた作品で、日本漫画テイストが入っているのは当然なのですが、私が衝撃を受けたのは作品スタイルではなく、シナリオです。
kentaro666 2013-04-16 04:09:04

主人公のスコットはカナダのハイスクールに通う普通…ではなく、アニメとゲームが大好きなオタクの高校生。当然ガールフレンドもいません。ここまでは日本の冴えない高校生を主役にした学園物と同じです。そんなスコットに可愛いガールフレンドができる。これも、いいでしょう。
kentaro666 2013-04-16 04:12:40

ところが話が佳境に入ろうとするところで、スコットがある女性に一目惚れし、彼は前の恋人に「ゴメン、もっと好きな人ができた」とあっさりその女性を振ってしまうのです。そこに「自分の気持ち」以外の理由がないのです。コミックでも映画でもその展開は同じです。
kentaro666 2013-04-16 04:17:14

学園ものを沢山描かれているゆうきさんなら、この展開は日本ではあり得ないと同意されると思います。私、作者と対談したときその点を問いただしましたが、向こうは私の質問の意図が分からなかったようで、明確な回答は得られませんでした。
kentaro666 2013-04-16 04:19:28

日本の学園物で主人公が「もっと好きな人ができた」というだけの理由で女性を振る展開はあり得ないだろうと思います。あるとしたらギャグ漫画で、「異常者のレベルで気まぐれな男」を出すくらいしか思いつきませんし、出しても編集が止めるでしょう。読者が不快になるからです。 kentaro666 2013-04-16 04:25:53

ええ。ただ主人公が、「これまで女性に持てた事がないゲームマニアの高校生」という設定なんですよ。その設定でこの展開は、ちょっと私には考えにくいのですが。
kentaro666 2013-04-16 04:34:37



では、間違い探しいってみよ〜!

誤:主人公のスコットはカナダのハイスクールに通う普通…ではなく、アニメとゲームが大好きなオタクの高校生。
正:主人公のスコットはカナダの無職ニートな23歳(大卒)。アマチュアバンドのベーシストでX-Menの大好きなギーク青年。
誤:ところが話が佳境に入ろうとするところで、スコットがある女性に一目惚れし
正:原著全6巻中の1巻、チャプター2(日本語版1巻の40ページ目)で正ヒロインのラモーナに一目惚れ
誤:「これまで女性に持てた事がないゲームマニアの高校生」
正:16歳で初カノ。女の子にモテたくてバンドを始め、学生時代はスクールカーストとは別に「イケてるやつポジション」を確保したリア充。しかし卒業後もそのノリが抜けないままですっかりダメ男に…


本編の始まる1年前に彼女(田舎出のさえないanimeオタクだったが、スコットと出会ってから脱オタしてオシャレになる。やがてビッチ化し、バンドを乗っ取ってスコットを捨てる)と破局。
そろそろ傷の癒えてきた頃に素直な華僑の高校生女子と出合ってなんとなく数回デートした処で、本気の恋の相手であるラモーナと出会う。

チャプター1では「男慣れ
しておらず話題に乏しい(自分の高校の行事やクラスメイトのくっついた離れた等ばかり)今カノとの盛り上がらないデート」 が描かれていて、 チャプター4の「ラモーナとのファンタスティックなひと時」とはっきり対比されてる。

「カップル文化の国」でカノジョいない期間が1年以上になりそうな頃に、グルーピー未満みたいな子にチヤホヤされたのを渡りに船と「おつきあい」を始めたが、別に『恋』はしていない。そんな処に『運命の出会い』をしてしまった。

気は重いけど、友人達からも「二股はマズイ」「ちゃんと別れてからにしろ」と忠告されて彼女にサヨナラを言った。でも世慣れていない10代の少女はなかなか納得できない。…という展開。現実にはよくある話で別に飲み込みづらい展開でもあるまい。

それと、大前提として、そもそものはじめから「スコットはロクデナシのダメ男」として描かれている。
最初の方で映画『トレイン・スポッティング』について言及されているので分かる通り、ようするに本質的には「そういう話」だ。
リアリズム一辺倒で描いたら相当キツいキャラクターや物語を、ポップな絵柄とゲーム調のファンタスティックな演出でスピード感のある明るい娯楽作品に仕上げている。


その場その場が楽しければいい、つきあった女の事も深く理解しようとしない、嫌な現実から逃げ回り、過去の失敗については自分に都合のいいように記憶のすり替えを行う。
そんなダメ男が本気の恋をし、「彼女の7人の元カレとバトルする」という形で彼女の過去や彼女を取り巻く人間関係を受け入れる。その過程で自分自身の過去とも向き合う事になり、ようやく過去から現在、そこから続く未来へと彼女と共に歩む道筋を見出す。

…という、モラトリアム青年の成長を描いた王道なドラマであり、個人の記憶や感情を通して世界が劇的に変容する様をポップな道具立てで描写した現代的なエンタメ。
一体何が「日本人には理解できない」の?そもそも竹熊さん、ちゃんとこの漫画を読んだの???


「スコット・ピルグリム」第3巻発売&映画公開記念!
ブライアン・リー・オマリー vs 相原コージ&竹熊健太郎


問題の対談記事を読む限り、少なくとも日本語版2巻までは目を通した上で話しているようだが、内容についてはきちんと理解していない?
やたらスコットの事を「オタク」と呼んでいるが、こっちでいう「オタク」と向こうの「ギーク」「otaku
」はニュアンスが違うからオマリーとの会話がかみ合っていないような。
(スコットは「バンドギーク」のX-Menマニアでゲーム好きだけど、「otaku」じゃないしアニメファンでもない)


対談記事の方はともかくとして、「北米の漫画市場」だの「日本漫画との感覚の違い」だのを語る為に引き合いに出しておきながら、基本設定すら理解していないのは流石にヒドイんじゃない?

個人的に趣味に合わない内容だったとしても、「アメリカのハイスクールを舞台にした青春ドラマの脚本家を雇って「学園物」の原作を作り、それを日本の漫画家に日本式で漫画を描かせるべき」なんて「提言」を本気でするなら、北米市場で単巻初刷り10万部即完売・即時増刷決定した『スコット・ピルグリム』は「市場研究」の為にきっちり読み込んで分析するべきでしょ。
なのに思い込みだけで間違った作品紹介をして「わかってる」つもりになるって、どんだけ怠惰なのよ…


ちなみに、北米の出版社自ら「北米の読者にウケるmanga」を作ろうとして、作家性よりも市場戦略で作り上げた作品は既にありますよ。
『Princess Ai―プリンセス・アイ物語』 『 X-men: Misfits』 『Wolverine: Prodigal Son』の三作。軒並みコケましたけどね!

付記)竹熊さんが「作家や作品に対して極めて不誠実な姿勢の持ち主」でないとしたら、スコピルが「横書きマンガ」だったせいで「読みこなせなかった」のでは。そんな人が「横書きマンガ推進」の旗を振るというのもどうなんだという…

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